2021年8月15日日曜日

稀な感染症にかかった話

ワクチンを打つ、打たない、私の場合 の続きです。

20歳の時、EBウイルス感染症(伝染性単核球症という、割と珍しいウイルス感染症にかかり入院しました。

EBウイルスとは、90%の人が子供の時に自然免疫を得ており、子供の時にかかると扁桃腺炎のような症状また無症状で生涯免疫を獲得できる感染症です。

私はどういうわけか子供の頃に自然免疫を獲得できず、成人してから罹ってしまいました。
私は、おたふく風邪も水疱瘡もやったし、外遊びばかりの、活発で、手洗いなんてしたことないような雑な子供だったので、なぜ子供のときに罹らなかったのかわかりません。

一般的な症状かというと、2−4週間の潜伏期間を経て、風邪のように発熱したあとも喉の痛みと37.5℃程度の熱が続き、首のリンパ節をはじめとする体中のリンパ節が腫れ、肝機能が低下するというウイルスです。稀に劇症肝炎などに発展することもあるそうです。

私は、数日の高熱のあとに微熱が長引き、喉の痛みと疲労感が全くとれないのと、顔がむくむほど首のリンパが腫れ、体中のリンパ節も指でグリグリできるほど腫れました。
微熱がひかず倦怠感が強かったため、熱を出してから10日後くらいに病院に行きました。
今だったらすぐにでも病院に行くと思うけれど、若いから放置できたんですよね笑。

そして病院に行くと、EBウイルス感染症の可能性が高く、肝機能が低下して急性肝炎を発症しているとのことで即入院に。黄疸もありました。

医師に「その状態でよく歩けたね」とも言われましたが、若いって素晴らしいですね。
そりゃあ、ものすごい倦怠感でしたが、歩けたんです。若いから笑。

治療法はというと、ウイルス感染症なので、基本的には自己治癒力による回復を待つしかありません。
ですが、私は肝臓の数値がなかなか戻らないので10日〜14日ほど入院していたような記憶があります。今、ざざっと調べてみたら、入院までいく手前で自然治癒する場合が多いようなので、私は症状が強く出てしまった方なのかもしれない。
カナダだったら速攻、自宅に帰されそうだけれど(笑)、当時、病院で病状を管理されながら治療して頂いてよかったと思っています。

このEBウイルスは今のコロナウイルスに比べたら罹患率の低い重症化率も少ない感染症ではあるのですが、それでもやっぱりしんどかったです。
とはいえEBウイルスが体の中で慢性化する慢性単核球症では命を落とす方もいらっしゃるようです。
あのような症状がずっと続いたら体は耐えられないだろうな、と少しばかり想いを寄せると胸が痛いです。

次の感染症にかかった話は夫の話です。
私の夫は20代のときに怪我の手術で入院していた時に、院内感染で麻疹(はしか)にかかりました。調べてみると彼の年代は子供のときに予防接種を逃したか、予防接種自体が行われていなかった可能性があるようです。

入院当時、彼自身はベッドから起き上がれなかったので、病院の空調を通じて感染した可能性があると言われ、即隔部屋での入院となったそうです。
これが麻疹の感染力が強力だといわれる所以なんだな、と思いました。

その後、麻疹の症状は非常に辛く、、、

頭の中にも口の中も、喉の中も、文字通り体中ブツブツに襲われ
1週間の間、高熱が下がらず、体温が40度と38度の間を行ったりきたり。
体のかゆみも尋常ではなく。
しかし、ウイルス感染症なので特効薬もありません。

はい、麻疹ですから。。。

生き地獄で、ほんとうに死ぬかと思ったと言っておりました。

予防接種必要/不要という議論の中でも、麻疹の症状と感染力の強さを思うと、予防接種をひとくくりにして必要ないとは考えられないし(麻疹だけは受けさせる、という方も多くいるかとは思います)、この現代で麻疹にかかる可能性が非常に低いことはよかったことだと思っています。
私は、自分の子供には経験してほしくないです。
巷で目にする「かかっても死ななければいいじゃない?」というの大雑把なくくり方だなというのが私の考えです。

最後の話は、私達夫婦はパンデミックの初期に、コロナウイルスに酷似した風邪をひいたときの話です。

検査ができない去年の3月の話。

私達2人とも咳がとまらず、倦怠感が強く、微熱が2週間続き。
不安でした。

熱は微熱程度でしたが、夫に絶え間なく襲いかかる咳がひどく、当時わかっていたこととして、咳からの呼吸困難や急激に悪化する可能性があると言われていたのでとても心配でした。
もし体力のない人だったら耐えられないのではないか?不安になるほどひどかったです。

その夫をみながら、私自身も咳がとまりません。

もし子どもたちを置いて私達が入院することになったらどうしよう。

未知のウイルスを前にして世界がひっくりかえる中で、そのことを一番苦しく感じました。

また、その直前で「コロナっていっても風邪っぽいから大丈夫じゃない?」という気持ちで遊んでしまった友人数名とその子供のことも思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
彼女はナースなので、今、誰よりも世間が必要としている人に私がうつしてしまっていたらどうしよう。

体調不良の中、色々のことで胸が押しつぶされそうでした。

これは、体の不調よりも耐え難い苦悶でした。

その後、2週間ほどで2人共回復してきました。
しかし、夫のほうが4ヶ月ほど胸の息苦しさが改善せず息を吸うと苦しくて疲れると言っていました。私も息苦しさは少し引きずりました。
今は2人とも改善していますし、そもそもコロナであったかどうかはわかりません。

とまあ、EBウイルス感染症やコロナまがいの風邪を経験してから、ある人にとってはなんでもないことでも、別の人にとっては重症化する可能性があるということは私にとってはリアルに感じます。

逆になんでもなかった人やずっと健康で病気知らずの人にとってみたら、重症化した人の体験はリアルではないのかもしれない。
(または、受けてきた医療がトラウマになったり不信感を募らせる原因になった人もまた違った視点があるでしょう。)

そりゃそうですよね、やっぱり「他人がどうだったか」よりも「自分が何を信じるか」が強い。私もそうです。それはそれでいいと思います。

私は、自己免疫力とか、予防とか、食生活とかそういう範囲では防ぎきれない病気がある。と思っています。

それと同じくらい、病気に対して警戒しすぎたり臆病になる必要もない、とも思っています。

それを踏まえた上で、情報も治療法もわかってきた今、私達がワクチン接種せずにコロナウイルスに罹ったとしたら「おそらく重症化せずに自宅管理できるだろうが、家族全員一緒にかかるのはきついし、誰かにうつしてしまうのは嫌だ」と考えます。
これは3月の風邪の体験が尾をひいています。

私はおそらく、家族や社会全体に対して「重病化する可能性のある感染症にはなるべく罹ってほしくないし、かかりたくない」という思いがどこかにあるのだと思います。

だから決めるのにはそれなりに時間がかかったけれど、ウイルスが変異してきている今、コロナワクチンを受ける選択をしてよかったなと思っています。
そんな夫もワクチン済みです。

そんな体験談でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿