2019年9月8日日曜日

情熱の矛先 ーECO MOON PAD卒業するにあたってー

最初にファーマーズマーケットに立ったのは2011年のことだった。
布で覆ったアイロン台をテーブルがわりにして、緊張と興奮入り混じりながら始めて自分のブースに立った。

今思えばよくあんなの売ったな!と思う仕上がりだったけれど、
布ナプキンという発想自体が目新しいカナダにおいて、そんなことは問題でなかった。

立ち止まる人に「これは靴の中敷なの?」と聞かれたり、
冷蔵庫の取っ手のカバーにちょうどよさそうだから買うわという人がいたり(笑笑)、
「えっ、生理用?おえー!」などと正直すぎる反応をもらったことが今となっては懐かしい。
ここ1〜2年のマーケットでは、いちいち「布ナプキンとはなにか」を説明しなくてもよくなった。それは、本当に嬉しいこと。
人の意識は確実に変わっているんだなって実感する。



記念すべき第一回布ナプ手作り会 2008年


布ナプキン屋さんを始める前は、私は少し現実離れした世界にいた。
スピリチュアルという言葉が世界を駆け巡った時期でもあったけれど、
もともと目に見えない世界のアンテナが強かった私は、
いろんな不思議なことを経験したし、面白い出会いがたくさんあった。
その一環としてレイキを教えるという経験をさせてもらった。
とても愛に溢れた時期であったし、このまま世界がどんどん広がっていくと思っていた。

しかし同時に「目に見えない世界」と「現実社会」にうまいこと橋をかけられない自分にもがいてもいた。
同時期に親になったことで、今までの自分の人生観をはるかに凌ぐ、子育ての世界の広さと深さに溺れてしまいそうにもなっていた。


「目に見えない世界」と「自然のかみさま」
たくさんのことを教えてくれた
LILWAT FIRSTNATIONの師匠


そんな私にとって「草木染めの布ナプキン」は、
「目に見えない世界」から培ったことと、
「目に見える世界」を結びつけてくれる、素晴らしい着地点だった。

ふわふわしすぎていた私にとって、裁縫や染めという作業は、大地と自分を繋いでくれるアンカーだった。
そして、幼児の母親という日々の中で、社会と繋がれる方法だった。
いちから自分で考え行動すること、現実的な「お金」を扱うレッスンでもあった。

なにより、「目に見えない世界」を語る相手は限られてしまうのに対して、
「布ナプキン」は幅広く誰にでも語りかけることができることが爽快だった。
「伝えたい」という思いを、「目に見えるもの」としてわかりやすく発信できることが楽しかった。
同じような地球の未来を見据えて、違うアプローチからクリエイティブな活動をされている人たちと出会えたことも刺激になった。
特にファーム系の人達から「生きること、食べること」をリアルに教えてもらったな。

いつしか、そういう活動の中で「目に見えない世界」よりも、「現実を生きる楽しさ」を強く感じるようになった。



ECO MOON PAD





余談だけれど、、、
 昔は、「ライトワーカーの素質はあるけれど、グラウンディングが全然ダメ。」と良く言われた。
当時はいろんなワークをして、グランディングを意識していたけれど、
グランディングはイメージすることじゃない、「そうである状態」なのだよね。
イメージしているうちはまだまだなのだと思う。
布ナプ屋さんをしていくこと、
親になったおかげで、ようやく体得できるようになった気がする。
(今思えば、草木染めという作業も、実際は結構な重労働なので、それもまた「自然の厳しさ」を知るというグランディングワークだったのかも。)


庭の桜の枝から草木染め


さて。

体の不調がEco moon pad卒業のきっかけではあるのだけれど、
実は心の方にも「完結した」というサインがきていた。

例えば日本から世界一周旅行に出てまた日本に戻ってくるように、
10年かけて「目に見えない世界への興味」から出発して、「現実を生きる楽しみ」を旅してまたゼロ地点に戻ってきたような感覚がある。
ゼロと言っても、九九の段が一つ上がるように、たくさん学んだ分だけ、1段階上がったゼロ地点にやってきた気分だ。

1段上がったゼロ地点に立ってみて、なんとなく、これから自分が歩む方向を直感的には感じている。
まだ漠然としていて形にはなっていないのだけど、、、気持ちだけは清々しい。

終わりは始まりだものね。

今、私の心は静かだけれど、
やがて情熱のさざ波が体を駆け巡り、
情熱の衝動に突き動かされる日が来るのを今から楽しみにしています。

その時また何かきっと発信すると思います!







ECO MOON PADをサポートしてくださったみなさん、本当にありがとうございました。
まだ材料が残っている分は、受注製作や手作り会を行いながら愛を持って関わっていきたいなと思っています。